さて、折角つくばに帰ったのですから、と言うことで、父のシステムを非常に短時間ではありますが、聴いてみました。その感想は…、結論から言いますが、私にとっては、もう、父のシステムを「リファレンス」とする必要はなくなりました。もちろん、その音質は今まで同様素晴らしく、全帯域について濁りや歪み感を感じない透明度の高い音で、また、帯域間のばらつきを感じさせない完成された音でしたが、情報量では私自身のシステムも勝ちこそはしないにせよ、かなり近づきつつあるし、fレンジに至ってはもはや負ける気がしません。これはもう純粋にスピーカの性能差なのでしょう。
一方で、Renaissance90が如何に優れていたかを知る結果にもなったのも事実ではあります。例えば高域や低域について、それぞれ無理に欲張ったりせず、ユニット間のつながりを重視したんだなぁ、と思う場面もしばしば。うちのOMEGAは高域、低域共に十分に伸びてるものの、EMIT+EMIMによるツイータ・ミッドハイと、いわゆるコーン型ユニットによるミッドバス・ウーファの音質差(特にスピード感)は結構なもので、これを抑え込もうとすれば、今以上に強力に駆動出来るアンプと、広い空間を必要としますが、Renaissanceはこの辺をうまくまとめていると言う印象。いやまあ、「使いこなし」でまとめた可能性ももちろんあるのでしょうけれども。それから、CDプレーヤの音質差はあまりに大きい。CDP-777ESAは何というか、クールな音で、その音色の押しが強く感じることがしばしば(特に低域はそれが目立つ)なのですが、MAESTRO CDPは暖かみがあって、かつ自然。相変わらずその外観は無骨極まりなく、繊細さは全く感じません(特にあのトレーの開閉動作はいかんともしがたいなぁ…。)が、音についてはさすがと感じました。
とまあ、思うことは色々あり、システム全体が狙っている音の傾向が微妙に違ったりする(これが非常に興味深かったりもするけれども(^^;)ので、一概に善し悪しを言えるものではないのですが、いずれにしても、今私が住む場所からは遠方にあるこのシステムを、敢えて「リファレンス」とする程の差は感じませんでした。従って、今日からのわしのリファレンスは「自分システム」です。いやー、言葉で言うのは容易いことですが、本当にここまで長かった…。