わしは少なくとも2004年から自宅ではMac使いになって、それ以来今日に至るまで自宅で主に使っているパソコンはMacな訳ですが、当時はiPod(3世代目)がだんだん知名度が上がってきていたくらいで、Appleの製品を使っているとそれだけでカルト的な眼差しを向けられることが少なくありませんでした。昨今ではiPhoneの大ヒットもあって、「Windows 8に行くくらいならMacの方が良いのでは」とまで言う向きもあるみたいですが…。
わし自身も元々はMacはそんなに興味がありませんでした。少なくともMac OS 9までの世代のそれには今でも全く興味がありません。当時のMacは何か新しい機器を導入するのにも「マニュアル通りやればその通り動く」が売りであり、それ自体は今でも変わりませんが、Mac OS 9以前はトラブルシューティングを行うのにユーザの介入できる範囲がもの凄く狭く見えました。それが、MS-DOSやWindowsで色々設定して自分の思いのままに動かすのが当たり前、と思っていたわしには何となくしっくりこなかったのです。
しかし、Mac OS Xはコア部分がBSD系のUNIXをベースにしている、という話をどこかで見て以来、Macにも俄然興味が涌いてきたのでした。
わしはMS-DOSを使っていた頃から、そのお手本ともなったUNIXには強い関心があり、実際にFreeBSDとかを自宅の旧いパソコンに入れてみたりして色々試したりしたのですが、いくらX11の設定を充実させ、インターネットブラウザ等を使えるようにしたとしても常用には至りませんでした。その理由は「常用するために必要となる商用アプリが殆どない」からで、結局OSを幾ら興味がある環境にしたところで、アプリがなければ何の意味もない訳です。しかし、Mac OS Xはそれを打開できる初めてのUNIX系OSになり得るかも…、と淡い期待を持ったのでした。
最初に触ったのはMac OS X 10.1.5でした。当時出ていたWindows XPよりもずっとモダンで、色々可能性を感じたものの、この頃は未だ商用アプリも少なく、OS自体も安定性が低くてとても使いにくかったことを覚えています。その後、PowerBook G4(FW800)を手に入れ、それにはMac OS X 10.3 Pantherがプリインストールされていました。Pantherは10.1.5の頃とは比較にならないほど安定し、しかもアプリもずいぶん揃っていたので、それまで使用していたVAIOノートは家内に使わせることにして、わしはMacをメインで使う覚悟を決めて使い始めたのです。少なくとも商用アプリで困ることはありませんでしたが、インターネットの利用はSafariに対応していないサービスが当時は結構あったことや、当時わしの周りで流行っていたIRCクライアントはあまり高機能なものがなく(Mac OS 9用ならあった)、そこで若干「ああ、わしはマイナーな環境を使っているのだなあ」と感じたりしました。一方で、UNIXと開発環境が手に入ったので、そこでちょっとしたcgiを書いたり、ソースをコンパイルしてみたりして色々便利に使っていました。
その後、iPod(第5世代)を買ったのも、自分の使用していたパソコンがMacだったからであって、その後iPod TouchやiPhoneにつながっている…という感じでしょうか。もちろん、流行ものであったのも事実ではあるのですが、わしの場合ほかに選択肢がなかったとも言えます。
さて、そんな時期を過ごしたPowerBook G4(FW800)ですが、2010年頃からどうも処理の遅さが目立つようになり、使いにくくなってしまったので、MacBook Air(Late 2010)に買い替え、それ以来しまってありました。そのMacBook Air(Late 2010)の方はどういう訳か3年を待たず壊れてしまって先日お払い箱になったところですが、PowerBook G4は未だ動くだろうと思い、今日納戸から引っ張りだし、ついでにMac OS X 10.4 Tigerのクリーンインストールも行って、「何かに使えないかな」と試しました。しかし、その結果は惨憺たるもの。動画サイトでの紙芝居状態は言うに及ばず、テキストだけのサイトですら正直辛い。同時期のXPマシンだってここまで遅くないと思われるので、そう考えると、幾らUNIX環境を手に入れるためとは言え、こんな遅いパソコンをよく我慢して使っていたなあ、と当時のわし自身に感心したりして。逆に今のMacは本当に速くなったんだなあ、やはりintel CPUに切り替えたのは英断だったのだなあ、などと改めて思った次第です。
という訳で、PowerBook G4は結局また納戸行き。少なくともわしの感覚ではあの遅いパソコンを使うのは厳しいので、もう永久にこのままかもなあ。元の持ち主である母に返す(漢字Talk時代からのMacユーザでした)、と言う手もなくはないけど、その元の持ち主ですら今やWindows 7ユーザになってしまっているし…。