交差する夢と平行線を辿る現実

夢を見た。それはかつて憧れだった女性との再会だった。偶然、彼女の勤務先に訪れることになった私は、さらに偶然彼女と再会することが出来、これまであった色々なことをお互いに楽しげに、そして自然体で話した。懐かしい彼女の姿は成熟こそしていたものの、纏う空気はあの日とちっとも変わっていなかった…。

現に返ったとき、それはもう二度と叶わないことであることを改めて知る。共に今を生きてはいるが、もはやその線が交わることはないほど離れている。試しにfbで彼女の姿を追ってみた。確かに纏う雰囲気にあの頃の面影を残していたが、それはもはや自分の活きる世界とは何の関係もないものだった。かつては交わった線、それを今更撚り合わせることは、むしろ失うもののほうが多いように思う。

まだ私が少年だった頃、すでに離れ始めた線を無理矢理撚り合わせようとして、彼女に再会した。未熟な私は彼女をただ見ていることしかできなかった。そしてそれが終わりの始まりだった。止めどない流れの中でその行為は極めて不自然だった。撚り合わせようとした線はむしろ致命的なほどに離れた。

平行する2つの線。それが撚り合うことが次にあったとしても、それは必然の中でこそ起こり得るべきだと今は納得している。それが二度とないことであったとしても、それはそれで一つの運命。しかし、私は日常的にそれを意識することはないにしても、たぶん彼女を忘れることは一生ないと思う。それはとても哀しいことだ。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.