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デスクトップコンピューティング環境再整備

先日MacBook Proを購入し、その際には「マルチモニターであることの優位性が薄らいだ」云々などと言っていたというのに、舌の根が渇く間もなく「やはりマルチモニター環境の方も有効に利用できるように」したくなり、Thunderbolt 4 Element Hubを新たに調達して、デスクトップ環境を再整備しました。

再整備に当たっての要件は次のとおりとしました。

  1. ディスプレイはラップトップ本体と併せて3台が使える環境とする
  2. 音声出力はThunderboltケーブルに接続されたホストから有線接続を前提に行えるようにする
  3. キーボードとマウスは無線のものとするが、それぞれをホストに直接接続せず、敢えてワイヤレスUSBレシーバ経由とすることで、Thunderboltケーブル接続先でのみ利用できるようにする

1はそもそもの目的がマルチモニター環境の構築なので言わずもがなでして、今回敢えてMacBook Proに買い替えたのも、トリプルモニターとしたかったからです(MacBook Airだと本体と外部モニターのデュアルまでの対応となります)。2は無線接続による音声出力ですとどうしても遅延が生じてしまいますが、それだとステージピアノでの演奏をDAW経由で行うときに致命的になります。かといって、ホスト本体のアナログ出力を使ってしまうとせっかくのThunderboltケーブル接続への集約の意味がなくなりますので、USBオーディオ装置をThunderbolt Hubの配下に接続することで対応することとしました。3は今回特に重要で、今回のこの環境は私物の「MacBook Pro」、「Surface Laptop Studio」のほか、会社から貸与されているタブレットPCでも利用を想定しており、これらのいずれの機器でも操作性に差異がなく、またキーボードやマウスをそれぞれの機器用に設置することは避けたかったのでした。一応、キーボードやマウスはマルチデバイス対応のBluetooth接続のものとしましたが、同機能を用いてホストと直接Bluetooth接続をしてしまうとホストを差し替えるたびにいちいち切り替え操作がそれぞれの入力デバイスで必要となり億劫…、ということで、Logi BoltのUSBレシーバをThunderbolt Hub配下に接続することでこちらもThunderboltケーブルの差し替えとともに切り替わる形としました。

再整備してみて使ってみた感想は「最高です」(雑)。実際もっと早くこうすればよかったなと思えるほど快適でして、どのPCを繋いでも操作環境が統一されていてとても使いやすいです。それと、Surface Laptop Studioをマルチモニターで使ってみたら、なんというかこう「Windows 11も結構使いやすい」なあと(笑)。普通に使う分にはMacとWindowsとでさほど操作性に遜色はないと言ったら言い過ぎでしょうか。ただ、個人的にはそれくらい違和感はありませんでした。

また、今回調達したThunderbolt 4 Element Hubは給電能力が最大60WでMacBook ProやSurface Laptop Studioには不足しています(特に後者は警告が出る)が、普段使いではバッテリー残量が減ることはないようですので、私の使い方ではこれで十分かな、と感じました。本当に重い処理をする必要があればACアダプタを接続すれば済むことですし。

さあ、これで少しは作業生産性が上がるかな…?自宅で何の作業をするかはさておき、ですが。

昨日のエントリーで

MacBook Proを購入の上、MBAとiMacを処分して一台に集約したとの内容にて、「私にとっての最初のMacはPowerBook G4でしたので、ある意味ようやく元の形に戻ったことに」と書きましたが、そもそもなぜデスクトップ機を追加したのだろうということが思い出せずに悶々としていたのですが、ブログの当時のエントリーにこんなことが書いてあることに気づき、その経緯をようやく思い出しました。

PowerMac G4(QuickSilver2002)を貰った

まあ、今更の感がありまくりな機種ですが、それでも三次キャッシュ他などにより、わしが常用しているPBG4(FW800)より高速なので、先日購入したディスプレイなどに接続し、きちんと使用できるように設置しました。

で、使ってみて思ったことは「MacOS Xって、高解像度のモニターがあって初めて、その良さが分かる」ということでした。PBG4では、Safariなどにて妙に大きなフォントを使用するように設定されているなあ、などと思っていたのですが、UXGAでは丁度よく、非常に見やすいです。また、今回貰ってきたPMG4はメモリを1GB以上搭載していることもあり、非常に快適。正直言うとMacOS XってWindowsに比べてもっさりしてると思っていたのですが、これならば悪くないという印象です。(以下略)

2007年1月3日のブログエントリーより抜粋

要は、PowerBook G4は文字が表示画面の比率として大きく、また、処理能力もあまり満足できなかったものだったのに対して、デスクトップ機ではその印象が払拭されるほど好印象だったがために、ラップトップでの運用からデスクトップへと転向した、ということだったみたいです。

で、今日に於いては画面解像度的にも処理能力的にもラップトップでもなんら支障がないから、集約を実行できた…、と。まあ、結局のところ「なあんだ」ってことでしかないのですが、当時は結構我慢してMacを使っていたんだなあ、ということを今更ながら改めて思い出した次第。

当時はまだiPhoneが国内では販売されておらず、Macはデザイナーなどの一部のニッチ向けや、道具というよりインテリアまたはおしゃれアイテム的な意味合いが強かった頃で、しかし私自身はMacOS XのベースがDarwinというUNIXであることゆえの可能性を感じて(半ば意固地になりながら)使っていたのでした。その後、iPhoneが国内で販売され、そのメーカであるAppleやMacがそれまで以上に知れ渡りニッチ・マニア向けのものからコモディティ化が進むことで、性能や使いやすさがそれまで以上に飛躍的に改善されていったように思います。

私的にはそのコモディティ化が進む中で「Apple製品に蹂躙されることは、将来的に困ったことになるのではないか?」と不安を感じ、2012年冬には一度Windows環境に回帰しようと考え、実際にマシンも数台買いましたが、もうそれを受け付けない身体になってしまい(笑)、今日に至ります。もっとも、Surface Laptop Studioは結構気に入ってますので、しばらくはMacBook Pro併用かなあ、と思っていますが。

パソコンを新調しました

今年四月にSurface Laptop Studioを購入したばかりですが、先週土曜日にMacBook Pro 16インチ(2021年モデル/M1 Pro)を新たに購入しました。

Macはおよそ二年ほど前にMacBook Air(M1)を購入していて、それ自体は素晴らしいパフォーマンスを発揮しており全く不満はなかったのですが、本来のメインマシンであるはずのiMac(2019)が、MBAとの性能差が小さからずあったことやマルチモニターであることの優位性がiPadとのUniversal Controlの実装などにより薄らぎ、マシンの存在自体が中途半端になってしまいまして、むしろ却ってデータがあちらこちらに分散してしまって日々の運用に支障を来たしはじめていたことから、遠からずMacBook Proを調達してこれらを一本化しよう、と昨年末くらいから考えていたのですが、M2 Pro搭載のMacBook Proは昨今の情勢もあって高額になってしまい、実現を躊躇っていました。

そんな最中、土曜日未明にAmazonのプライムデーでMBP 14インチ(M1Pro 10コア/16GB/1TBSSD/SGY)が比較的安価に販売され、翌朝には売れ切れているのを見て、「そういえば近所の家電量販店で16インチを在庫処分していたな」ということを思い出し、M2ProとM1Proにはあまり大きな性能差がないとの評判を確認した上で「この機を逃すとさらに一本化の実現が遠のく」と思い、購入しました。実はAmazonの14インチのものと価格差は僅かだったりしたことも決め手となりました。

購入後、iMacのTimeMachineから新たなMBPへのデータ移行を行ったのち、MBAのデータをNASに退避して集約を終えました。私にとっての最初のMacはPowerBook G4でしたので、ある意味ようやく元の形に戻ったことになります。以前であればマルチモニターの実現という点でデスクトップ型に優位性を感じていましたが、もし万が一マルチモニターでの作業が必要になったらこれまで使用していたモニターをThunderbolt経由で繋げばいいだけですし、16インチもあれば十分に画面は広く私個人としては少なくともプライベートでの用途においてはこれで十分で、集約によるメリットの方が増えた感すらあります。
なお、MBAとiMacはmacOS Sonomaを再セットアップしたのちに、それぞれ長男と次男にあげました。二人とも普段iPhone等を使っていることもあって喜んでくれたみたいなので、売却より良かったかなと思っています。

使ってみて感じることは、全てにおいてMBA M1より質感が高いです。リッドを閉じた時の「ピタッ」とした感じとか、もうそういうところからMBAと全然違いますし、キーボードもMBAより打ちやすい。スピーカーの音質も、もし私がオーディオマニアでなければ多分これで十分なのでは?と思うほどの音が出ます。中途半端な外付けスピーカーはむしろお呼びでないかも知れない…。スペックは所謂「竹」ですが、さすがハイエンド機種だなあ、と感じました。いい買い物でした。

古巣で打ちのめされる

先週金曜日、振替休日を使っておよそ20年前に勤めていた会社を訪問してきました。

この会社に勤めていた頃の私は、某大手SIerの現場(Y○P)での自動車電話向け交換機ソフトウェア開発の業務環境が過酷過ぎ故に殆ど逃げ出したも同然で辞めた直後であったため、自分は社会やIT分野では生きていけないのではないか?とかそういうことを考えるほどに自信を喪失していた時期でして、入社直後は少々気まずい雰囲気になりかけたこともありましたが、結果的には自身の能力を飛躍的に向上させてもらうことができました。それは、単にITや各種業務、そしてそれらへの改善・改革に関する知見を広げただけでなく、何より「仕事が面白い」と思えるようになったことでスタンスが変わり、あらゆる分野について積極的な興味を持つきっかけを作ってくれました。今の私がそれなりに活躍できている(と烏滸がましくもそう思っている(笑))のは、この会社での経験が全ての発端であるとしても全く過言ではないですし、実際普段からそれっぽいことを周囲に語り続けています。

そんな素晴らしい職場でしたが、結局は退職に至った理由を改めて整理すると次の4点になります。

  • 元々地元志向で、できればつくばに戻りたいと常々考えていたところ、私自身の入籍後一年のタイミングで両親が都内に移住し、実家が空くことが決まったこと。つくばからであれば都内勤務も可能なので新たなチャレンジができると考えた。
  • 新しいIT技術の入手性、という点において地方は若干不利と感じていたこと。飽きっぽい性格もあって、常に新しいテクノロジーを知ることに飢えていたが、セミナーの殆どは都内での開催。宇都宮から東京は遠い…。
  • 取引先の社長などから「優秀」とお世辞にも褒め上げられたことをきっかけに、もっと色々できることがあるのではないか、と自信を持ち始めていたこと。
  • 待遇面で不満があったこと。会社の業績が芳しくない状況だっただけにやむを得ないとは感じていたものの、家族ができてからは経済面で覚束なくなった。元来、趣味人間であることを標榜していた私にとっては厳しいものがあった。

その会社を辞めてからの私は、

  1. 意気揚々と東証一部上場企業に入社するなりいきなり経営危機に陥り企業合併の憂目に。「統合に向け、課題は明確にすること」との指示を都合よく拡大解釈してデューデリジェンスの最中に相手企業(そちらも東証一部上場)を技術的に貶めうる文書を作って発表したことで両社経営陣が混乱。合併直後に転籍先の子会社での上司面談では開口一番「辞めたかったら辞めてもいい」と言われ、冷遇される
  2. しかし負けん気フル発揮で自らの持つ技術力を駆使して暴れ回っていたら、「汎用的なITの知識量が多い」、「打たれ強い」との理由により、何故か2桁億円規模のプロジェクトのマネージャとして抜擢?(微左遷説あり)され兄弟会社に出向
  3. 紆余曲折あるもプロジェクトは完遂。その最中に本社へ転籍辞令。現場から一転して企画・調達・管理担当となり、かつて在籍していた子会社は取引相手に。自身は海外企業買収への対応や、震災をきっかけとしたBCP対応、デジタル事業戦略への支援など多数のプロジェクトに参画する傍ら、グループ会社でのITにおける予実管理などを担う
  4. 本社の在籍部門ではほぼ一人で立ち回り充実感・疲労感共に著しい最中、かつての職場の先輩からお声掛けをいただき「日本の科学技術分野に微力ながら貢献できる」、「新天地でもっとゆっくり仕事に取り組みたい」との理由で三度目の転職
  5. しかし転職後もせっかちな性格は変わらず。結局「ゆっくり」とはなんのことやら、ほぼ全ての社内ITの更改に携わり、入社後4年半で2つ昇進し責任者に。元々一匹狼的なところがあるがゆえ、ラインマネージメントに苦戦中(自分でやった方が早いが、それはダメと若手に諌められる日々)

みたいな感じで、まあとにかく落ち着かない日々を過ごしてきたわけですが、この持ち前の性格が幸いしたのかはたまた災いしたのか、経験だけは妙に豊富になってしまい、それゆえかつての古巣を訪問することで、その現状から今の自分ならそこで何ができるか?的なことを探って自らの能力トレーニングをしてみたいと時々考えていたのでした。

と、前振りが異様に長くなりましたが、以降、実際の先日の訪問について書いていきます。

お話ししたのは取締役となられた二名の方と関係者の皆さん。そのうち一名の役員は転職後も何度か飲み会に誘っていただいたご縁があり今回の訪問のきっかけを作ってくだった方で、これまでの事業上の新たな取り組みについてのお話しを伺いました。その方は技術畑一筋ということもあってか常に新しいことにアンテナを張られているようでして、既に還暦を遥か前に迎えておられるご年齢にも関わらず、昨今のAIなどに強い興味・関心をお持ちのようでした。

もう一名の役員とは多分退職後にお会いするのは今回が初めてでしたが、在職当時も私とほぼ同世代にも関わらずとにかく仕事や改善に前向きな方で会社の中心的な存在だっただけでなく、一度会社のwebサイトの更新内容で意見が衝突した際に、その方はあくまでも会社やそのステークホルダーに対してどう考えるのか?という視点で意見を述べられ、そこには私利私欲なる一点の澱みをも感じさせられなかったことにまさにハンマーで殴られたかのような衝撃を受けたことで、前述のように仕事へのスタンスを変えるきっかけの一つを私に与え、また常に畏怖を抱く相手でした。もっとも生まれてこのかた実際にハンマーで殴られたことはないですけどね(笑)。

その方と関係者の方とで昔のことやその後のことなどをお話をしていて感じたのは、一つのことにじっくり腰を据えてやり切ることの大切さ、そしてそれで得られるものの大きさ、でした。昨今は社会全体が業務改革に邁進することが美徳のように言われ続け、やれBPRだとかイノベーションだとかDXだとか…、まるでそれまで積み上げられてきたやり方の大半を否定するような「ちゃぶ台返し的な変革」とその流れに乗ることが恰も王道のように語られていますし、実際私もその流れに乗ることがベストではないにしてもモアベターであると信じていましたが、必ずしもその道に乗らずとも堅実かつ地に足を付けて時間を掛けて一つのことにじっくり取り組み熟成することで得られるものは必ずあり、そしてそれはちゃぶ台返し的な手法では決して得られない財産になりうると実感し、二十余年の時を経てまたもハンマーで(略)でした。そして、これが出来ている企業が国内にどのくらいあるのかな、と考えさせられることになりました。実際、このレベルでの緻密な管理が行えている企業は私の職歴ではよほどの大企業でもない限り他に見当たらないですし、「ああ、こういう環境だったから、私が今の私たりうるのかあ」と今更ながらに気付かされることに。当時は他の会社、特にバックオフィスの業務については殆ど何も知らなかったので仕方ないとはいえ、もっと学べることはここに沢山あったんだな、と思い知らされました。

もう一つの気づきとしては、職場の雰囲気がとても良かったことです。業務に集中しながらものびのびとされている印象で、特にサーバ室などの要所要所の整理整頓具合はお手本レベル。自らを省みる必要性を強く実感しました。

さて、今回の訪問の目的であった「今の自分ならそこで何ができるか?的なことを探ってみたい」への解はというと、熟成が進んでいるゆえに開発環境が昨今のIT人材の希望とはほど遠く、それゆえ後継者探しが困難で事業継続性に懸念がありそうなことと、それへの解決法としてITをマイグレーションする必要性が生じた際に現在の業務プロセスの「核となる部分」を適切に維持できるよう、熟成が進んだ業務プロセスを客観的に分析して俯瞰的・全社横断的な標準化・ドキュメント化をするための支援、かなあと。自分でもあまりにも月並み過ぎて面白くもなんともないし、収益への寄与という点でも即効性のない内容ゆえ推進はかなり難しいなあ、と感じたのも事実。少なくとも片手間ではできそうにありません。

もっとも余所のことはさておき、自分の足許がとても落ち着きがなく・おぼつかないものであることがこの訪問をきっかけに改めて詳らかになったことで、それへの取り組みをなんとかしないと、という気持ちにさせられました。今日、なかなかそれが難しい環境であることも事実ではありますが、困難なことほど完遂した時の達成感も大きいことを知っているわけですから、その旨みを味わえるようまた明日から頑張っていきたいと思います。