Windows8.1 Updateが将来の分も含めた形で発表されましたね。スタートメニューが復活し、ストアアプリがデスクトップ側のタスクバーからでも呼び出せるようになるなど、従来のWindows7からの移行であっても、ユーザは操作に戸惑うことなく移行できるでしょう。
しかし、敢えてわしはこれを「がっかりだ」と評価させていただきます。
パソコンはコモディティ化が極めて進んだ結果、もはや日々の生活に欠かせない道具になりました。今となってはオフィスで使用するのは勿論のこと、家庭で年賀状をパソコンで作成するとか、Webサイトを閲覧するなどといったことは日常的な出来事の方のほうが多いのではないでしょうか。そのような「道具」として見た時には、今回のアップデートはとても優れていて、歓迎されるものでしょう。
しかし、わしにとってパソコンを含む「情報機器」は趣味でもあります。仕事ではともかくとしても、家にいる時までただの道具を用もなく触っていたいとは思いません。使っているときは操作そのものにワクワクしたり、意外性を感じたりしたい。もちろん良いと思うこともあれば、そうでないこともあるとは思いますが、こういった探究というのは楽しいものです。だから、どうしてもイノベーティブな物をより魅力的に感じます。そのような観点において、今回のアップデートはイノベーション、という意味では明らかに後退です。デスクトップとしての使い勝手の向上はあるものの、タブレット端末としての進化は(現時点でわしが知り得ている情報では)見うけられません。
特に意味が分からないのはスタート画面の電源アイコン。これはいったい何のためにつけたのか。デスクトップを主として使用する方であれば、そもそもスタート画面は使わずスタートメニューを使用するでしょうから、そこから電源が切れれば十分。とすると、このスタート画面は主にタブレットユーザが使うものになると思われますが、タブレット端末を都度都度シャットダウンしたい、と思う人がどの程度いるのでしょうか。わしはタブレット端末は「いつでもどこでもすぐに使える」ことが最大の魅力であって、それが無ければクラムシェルのパソコンで十分と思うだけに、タブレット端末の電源を都度都度切るような使い方は全く理解できません(だから設定から電源オフで何ら問題なし)。タブレットユーザにとってこの画面に欲しかったのは、電源アイコンよりも常時表示される時計やバッテリーステータスだったと思うのですが…。
このように、今回のアップデートは「ユーザが望むようにしたぞ。ほら、電源も分かりやすくなっただろ、これでも文句あるのか」の如く逆ギレ的な思想を感じます。本来、今後のタブレットの潮流に乗るべきか、それともデスクトップに回帰するかの判断は慎重に行なわれた上で、実装されるべき機能も必要性が明確であることが前提で行われるべきとわしは考えますが、今回のはその点でただの「おてんこ盛り」であってイノベーティブではありません。そもそもユーザに媚びてしまってはイノベーションは生まれません。
クラムシェルやデスクトップPCについては、今後も道具として一定の需要は見込めると思います。が、それはもはや白物家電と大差ありません。わしは白物家電を趣味にする気は(現時点では)ないので、そういう意味で本当に残念。先日のエントリーに書いたVAIOの件と併せて、ますますMacに気持ちが戻りそう。もっとも、Appleもここのところ少しマンネリ化してきており、イノベーションを感じなくなった気がするのはちょっと気になるところですが…。