披露宴から1ヶ月が経ち…

先日挙行した結婚式の写真ができあがったとの電話連絡が式場からあったので、それを受け取りにつくば市の某式場に行ってきた。思えば、実家のあるつくば市に来たのは、ここ連日多忙だったこともあり、その結婚式以来のことであった。

正午頃、電話での指示通り式場の写真室へ行くと、「6月」、「日曜」、「友引」と言うこともあってか、式場は私達のときより慌ただしい雰囲気が漂っていた。その中には、私達がお世話になったスタッフの顔も見え、写真室の前で受け取りを待つあいだ、そう言った光景を見ながら、かつての自分たちの当日の状況を思い出した。


披露宴会場入口。朝から整髪や着付け、写真撮影などとえらく慌ただしく、既に疲れてしまっていたが、高校時代からの友人をはじめとし、沢山の友人におめでとう、と言われたことが本当に嬉しく、また、今日わざわざ遠路はるばるお越し頂いた方々のことを考えると、これからがいよいよ本番、と会場のドアの前で自らを奮い立たせた。

会場から、自分が選曲した入場の曲が流れ始め、会場マネージャがドアを開け、我々を先導した。入場と共に大きな拍手に包まれる。私たちのために拍手して頂いているのだ、と意識すると、ついつい表情がゆるんでしまいそうになった。

披露宴が始まると、来賓の方をはじめとし、多数の祝福の言葉を戴いた。祝いの席の言葉から、幾ばくかのお世辞が混じることは事前に理解はしていたものの、こういう場で褒められるのは決して悪い気がしないものだ、と思った。特に、高校時代の友人I氏。原稿等を事前に用意せず、その場の雰囲気に合わせてフリースタイルでスピーチをしていたのは、相変わらず見事としか言いようがない。

さて、スピーチも全て終わり、「さあて、料理を食べるかなぁ」と思ったところ、「お色直し」とのこと。…えっ?もう?と思ったのが正直なところ。とは言え、時計は外してしまったので時間を確認する手だてはなく、また、進行上は予定通りだったので、一旦退場。会場の外で時計を確認すると、既に開始から1時間近くが経っていた。「始まると早いよ」と事前には言われていたものの、ここまでとは思わず少々驚いた。

その後、タキシードに着替えて再入場。入場の際、いわゆるキャンドルサービスの代わりに、青く光る不思議な液体をガラス器に注ぐ「ルミ・ファンタジア」というものを行った。この光るものの正体は、いわゆるサイリュームの液体みたいなもので、それ自体は「今更珍しくもないし、それほどインパクトないかもなぁ」と思っていたのだが、音楽をいかにもそれっぽい物を選択したりしたこともあってか、反響は想像より遙かに良かったらしく、「きれいー。」という声の他、「これはどうなってるんだ?特に熱いわけでもないし、不思議だ。」、「わたしゃこんなの見たこと無いよ!」等と言った声が、会場から聞こえてきた。

余興で飛び込みの芸(各国語の祝辞電報の物まね。これは雰囲気が出ていて本当に面白かった)や、司会からのインタビュー、大学サークル時代の友人によるカラオケが終わり、「今度こそ料理を…」と思ったところ、「両親へお手紙(新婦)と花束贈呈」。まだ殆どの皿に手をつけていないのだが…。取りあえず、ケーキカットで切った生ケーキを急いでほおばり、高砂の前に立つ。会場は暗転し、スポットライトが私たち二人を暗闇の中に浮かび上がらせる。妻が昨晩一生懸命書いた手紙を読み、そして、二人ともそれぞれの両親に花束を渡す。父と私が一言挨拶をした後、披露宴はお開きとなった。2時間半もの時間があったはずの披露宴はこうして「光陰矢」のごとく、幕を閉じたのであった。一瞬の出来事だった、と言っても過言ではない。

夕方、私の実家にて親戚と少し話をし、私の両親と食事を取った後、2人でホテルに戻り、就寝となったのだが、目をつぶると、披露宴会場の拍手と歓声が鮮やかによみがえってくる。…いや、これは決して比喩でも何でもなく、本当にその光景が夢として目の前に展開するのである。その拍手と歓声にハッと目を覚ますと、静まりかえったホテルの一室で横になっている自分に気付き、「ああ、もう終わったんだよな」とぽつりと呟いた。そうして、何度かその拍手と歓声に目を覚ましながら、いつしか深い眠りにつき、2人にとって慌ただしく、そして喜ばしい1日が終了したのであった。


こんなことを思い出しつつ、写真を受け取り、エレベータに乗る。エレベータは一旦、私たちが披露宴を行った階で停止したのだが、そこには私たちがお世話になった、会場マネージャの姿もあった。

私の実家にて、披露宴当日の写真を私の家族と共に見たり、アパートに帰ってからも、2人で写真や、当日貰った色紙を見ながら、当日のことを語ったりした。そして、「披露宴をやって良かった」ということと、「もう、新しい生活は始まって居るんだな」ということを、戸外からしとしとと雨の音が聞こえる6月の静かな晩に、お互いに再確認したのであった。

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