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今年1年間のお買い物を総括してみる

今年も色々買ったのでその時々に呟いた、関連するツイートを交えて振り返り。

まずは、AVアンプ「Pioneer SC-LX901」とUHDBDプレーヤ「SONY UBP-X800」。どっちの機器にも言えることとして、外装が安っぽくてそれ自体は未だ好きになれないのですが、性能は確かで、特にAVアンプの方は以前使っていたVSA-AX10Aiより映画を見る分にはいいのではないか?と思うほど、雰囲気の表現がいい。この辺りは良くも悪くもこなれてきてますね。あと、HDMI CECによる連携も本当に良く出来ていると思いました。特にDVDのDOLBY SURROUND PRO LOGIC(要は音声が2ch)のソフトもAVアンプの「Auto Surround」にしておけば、勝手に5.1chにしてくれるのには驚きました。これ、どうやって実現しているのだろうなあ…。
UHD BDは試しにソフトを買って見てみましたが、鮮明であることには違いないものの私の目ではフルハイのアプコンでも映画を見るだけなら十分のような気がしてます。という訳で、それまで考えていた自宅テレビ視聴環境の4K化計画はいったん保留。結局4Kチューナも買わないままこの年末を迎えています。

次は、Apple iPad Pro 11 inch+Smart Keyboard。これを所有するようになってからは、モバイルPCを外出先に持ち出す必要性は全く感じなくなりました。ただ、有効活用できているか?と問われると微妙です。後述しますが、最近はちょっとした外出であればiPhoneとKindleで殆ど用を足しているので、単なる暇つぶし用途としてはむしろ過剰すぎる感が…。という訳で、宿泊のある外出時くらいしか持ち歩いておらず、むしろ寝室でベッドに寝そべりながらWebサーフィンやYouTubeを見る時によく使っています。

その次に購入したものは、昨日のエントリーに書かせて頂いたトヨタ・クラウン。インプレっぽいものは内容が重複するので割愛しますが、今日Yahoo!の記事のコメント欄で「今までクラウンを乗り継いでいたが、今回は見送った」という主旨の投稿があったのを見て、「私は今までのクラウンだったらむしろ買わなかった人だけれど、往年のファンにとってはその逆の気持ちなのだろうなあ」などと感じたりしました。私的にはいい車だと思うのですが。

それから、子供達に与えていた古いiMacが突然故障したため、これまで私が使っていたiMac Retina 5Kを子供達に渡して、私自身は最新モデルのiMac(27インチ 3.0GHz MRQY2J/A)に買い替えました。本体内蔵のモニターの性能が良くなっていて、写真などむしろあまり見えて欲しくないものまで見えるようになってしまうようになりましたが、それ以外は特に変わった感じはしないですね。iPhoneもそうなのですが、最近Apple製品はパフォーマンスが悪くなったら買い換えれば十分なものばかりになってきた印象があります。

続いて、Kindle Paperwhite 第4世代。実は昨年第3世代を購入したばかりでしたが、私の不注意で液晶を割ってしまってオシャカに。壊した直後は「iPhoneやiPadでも読めるし、元々読書が好きじゃないのでいいか」くらいに考えていたのですが、ちょっとした待ち時間に1ページだけ読み進めるとかにKindleはとても適していることに気づき、そのような用途であればiPhoneなどに不便さを感じるようになってしまいましたので、結局1ヶ月後に改めて購入。今回はカバーや破損時保証までつけたので、万が一の破損時にも安心。いや、今度こそできるだけ破損しないように使いますけれども。

最後はSONY WF-1000XM3。それまで、鉄道での通勤時にはMDR-1000Xを使っていて、それはそれで音質的には悪くはなかったのですが、列車車中で時々つり革や手すりにぶつけるなど気になる点があり、また、待ち合わせなどで喫茶店で時間潰しの際にKindleを見ながら音楽を聴きたいと思っても、いかにもガチなオーバヘッド・密閉型で色々と憚られるものがあったりしましたので、割と評判の良いANCイヤホンを入手してみました。使い始めて、「うん、これだよこれ」という感じです。音質はピュアなどと比べるようなものではないですし、1000Xの方が量感たっぷりでしたが、クリアな音質で悪くないかな、と思いました。

さて、来年ですが…今のところ何も買う予定がありません(汗)。理由として家庭の事情とか色々あるのですが、それ以外にもいよいよ20年選手になるスピーカーをなんとかしたいなあ、という気持ちから少しお金を貯めようと思っています。ちなみに候補は現時点でTAD-E1TXあたりを考えてはいますが、現実にはいつになるかによって購入品は変わることになろうと思うので、「その辺の機種を目標に」、まずは実現に向けてクリアすべきことをクリアしようと思います。

CDプレーヤを買い換えました

このブログのエントリーは春先から小中学生時代に関連する話ばかりで、今読み返すと「色々病んでいたのかも…」と思わざるを得ない状態だったりしたわけですが、実はその後色んな気づきがあって、最近はその件は割とどうでも良くなり、またオーディオ方面へ気持ちが向いてきました。

そのような中で改めて課題として挙がったのは「今後、良質な音源として何に軸を置くか」と言うことでした。これまでのメイン音源であるCD(と、そこから取り出した音源ファイル)については大きな不満はないにしても、なんとなくそれ以上の期待もあまり出来ない気がしてきたので、新たな方向性を得たいと感じ始めていたのでした。具体的には「アナログ盤」か「SACD」か、と言うことになります。

昨今、ピュアオーディオ界隈に於いては、アナログ盤がブームなこともあってか音源として選択されている例が少なくなくそちらに進むのも有りと思う反面、元々父がアナログ盤のコレクターなので、個人的にはなんとなく今更感があり、一方でSACDは14年前にDP-67を購入した際「これからはファイルオーディオ(ネットワークオーディオ)が主流になる」と敢えて切り捨てた部分もあったこともあり、それはそれで時計の針を戻すような気持ちもあってなかなか選択し切れない状態でズルズルと…と言う状況でした。

そんな中で、某中古店でAccuphase DP-900単体がなんとか手に届く価格で販売されていることを知り、勢い余って調達することに。当初は「将来いずれ同社DP-750新品を」、と思っていたものの、手元にDC-37があることを考えると「またこれだけの額をSACDのためだけに支払うのには抵抗がある」と気持ちも少なからずあって、程度の良いDP-900中古も選択肢としてはなくもないな、と思ったが故の行動でした。見た目に限っていうなら良くも悪くもAccuphaseデザインで、DP-67から変更しても殆ど違和感がなく、まるで以前からそこにあったかのような佇まいです。

さて、到着後に色々試聴してみて、SACDについては当然CDより音が良く、十分期待していた効果が得られたのですが、想像外だったのはCDの音が激変と言って差し支えのないほどに向上したことでした。

そもそも出音が全然違っていて、高域は極めて繊細な描写をするようになったり、低域も十分な押し出し感とさらに低い音域が高い解像度を伴って表現できるようになるなど、明らかなグレードアップを感じたわけですが、それ以上に驚いたのは「静寂」が表現できるようになったことでした。ここでいう「静寂」とは無音を意味するわけではなく、楽曲中のちょっとした間であったり、演奏開始直前のわずかな(電気的ではなく、収録現場で生じた)ノイズを指すわけですが、こういった極めて微々たる音でも拾い上げ、表現できるようになったのでした。それによってリアリティが格段に向上したことに気づき、思わず唸ってしまいました。

今回買い換えたのはあくまでもSACD/CDトランスポートであって、扱っている信号は全てディジタル領域のものだから、これまでのDP-67とNP-S2000をトランスポートとして使用した時の音質差と同様に多少は変わることは想定できるものの、その変化量は微々たるもので、ブラインドであれば識別することは困難なレベルに留まるのでは…?と高をくくっていたのですが、それが完全に誤りであること今回気づかされました。

いやー、これは本当に参った。ディジタル領域のそれは投資を掛けても変化量は少なく、費用対効果は良くないと思っていたが故、敢えてそこにはあまり手を入れないで来たのですが、今回の件をきっかけに考え方を改める必要がありそうです。

IRS-Beta、失意の試聴

この前の日曜日、インフィニティのハイエンドスピーカ、IRS-Betaを聞きに名古屋の某中古オーディオ店に行ってきました。(関連記事:旅人さんの日記
さすがに距離があることもあり、行って聞けないとまずいので、事前にお店に連絡して「鳴らすにふさわしいアンプは店舗にないけれど、なんとかやり繰りします」、「今日は試聴フロアの担当が休みを取っているが、明日は出社するので朝からセッティングを行います。」旨の回答とともに試聴させて頂けることを確認の上、旅人さんの車に乗って計4名で当日未明に都内を出、朝には現地に到着しました。朝食をとった後、暫し駐車場に停めた車内で休憩しつつ開店時間を待ちました。

午前10時を回った後にその店に入り、即座に思ったのは「あ、しまった。ここ、ジャンクの店じゃないか…。」でした。動くのか動かないのかよくわからないようなものが置いてあったり、未完成でパーツというべきかすら憚られる謎のものが店内にごちゃっと置いてあったりするし、何より店内全体が埃っぽい。もちろん、ジャンクにはジャンクの良さがあることを理解するのですが、今のわしはオーディオにジャンクを求めていません。この時点で相当気が引けてしまいました。

店内を1階、2階と見渡しましたが、目標としていたスピーカらしきものは見つからず、ならばということで独り地階に降りて見たところ、白髪の割と年齢の行っていそうな店員が巨大なスピーカ群の前の事務椅子に座っていました。目当てのスピーカは確かに聳えているのですが、事前にメールで回答頂いたような、セッティングを行っている様子は全くありません。仕方なくこちらか声をかけました。「先刻、メールでBetaとSigmaの試聴をお願いした鳴沢と申しますが…」、店員は「ああ」とばかりに声を上げて、私に尋ねるのでした。「アンプな何をお使いで?」わしは素直に「アキュフェーズのA-45とA-70です」と答えると、店員は「ふーん…」というふうな反応をして、そして想像だもしないようなことを言い始めるのです。「このスピーカは無限の可能性を持つが、あなたのアンプではその性能は活かせない。せめて同じアキュフェーズでもA-200を4台、そしてDG-58がなければ。そして今それはここにはない。ここにあるアンプでは音は出るがとてもこのスピーカの性能を発揮できるものではない。聞かない方が良い」

驚きました。試聴をしに事前にアポイントまでとって参上したというのに、約束していたセッティングを行うこともなければ、しまいには「聞かない方が良い」です。この趣味をそこそこ長くやってきたつもりでしたが、このような経験は初めてです。店員はそのあと、「このスピーカを鳴らすのだったら、最低でも2000万円用意しないとダメ」、「このスピーカの為に部屋を作るぐらいの覚悟はあなたにあるのか」、「この店はこのスピーカを15台売ってきた。名古屋だけでなく、東京までセッティングしに行ったこともある。みんなドクターなどと行ったお金持ちばかりで、そこで試行錯誤をしてやっと鳴るような代物だ。そこまでやる覚悟がないのなら、このスピーカは活かせないしそこらの安いスピーカより鳴らない、と誤解される。」と色んなことを言われましたが、それらは全て「だから、聞かない方が良い」という言葉につながっていました。

さて、困りました。わしは今日試聴をしにきたわけだし、ここまで運転してくださった旅人さんや、同行していた方にも申し訳が立ちません。状況を打開すべく、こちらの話を全く聞く気がないままずーっと説教(?)を続けようとする店員の言葉を遮って言いました。「私は今日試聴のために、遠路はるばる徹夜までしてここに来ました。どうしても聞かせてもらえないのでしょうか。」、「このスピーカは今日初めて聞くわけではありません。15年前、仰るような環境で聞き、そこの音がいかに素晴らしかったを覚えています。今日の環境はそこまで鳴らないというご主人の意見も理解できる。しかし、だからこそこの環境でどの程度鳴るのか聞いてみたい。」しかし、店員は前述のような話を改めてした上で、やはり「聞かない方が良い」を繰り返すばかりでした。この店員には幾らこちらが筋道立てて話をしても多分らちが開かない、ということで、目一杯こちらが譲歩することに。「…ご主人が言われる通り、私が色々勘違いしている可能性は否定しません。ですので、いかに自分が誤った認識であるか、この耳で確かめたいのです。聞かせてください」とお願いしました。すると仕方ないな、と言わんばかりにケーブルを持ち出し、やっとセッティングを始めてくれました。

ここまで説教を聞き始めておよそ30分間が経過しており、前日から殆ど睡眠を取っていなかったこともあってわしはすでにヘトヘトでした。もうどんな音でもいいや、聞くだけ聞いて帰ろう…と、そんな気分になっていました。だから、それ以降出てくる音については一切否定をしませんでした。実際、音量入れてもひずみが感じられないことや、音場がスピーカ後方に形成されるなど、確かに素晴らしかったのですが、それを褒めながらも敢えて店員の言葉を立てるために「この環境では完調ではないですね。」などと言い、機嫌を損ねないよう演技するので精一杯。一方でウィークポイントといえば、この店員さんのいう通りセッティングが甘いのと駆動系が弱かったんですかね、スピーカからの音離れがイマイチだったし、バランスもおかしかった。あと選曲が悪い。最初にオルガンを持って来た時点で「あーあ、やってくれやがった」と思いましたよ、正直。(IRS-Betaといえば低域、と勘違いしている人が多いのですが、むしろ中高域こそ至極であって、どちらかといえば低域はブーミーです)途中でNASAのケーブルを使ったXLRケーブルなどに交換されたりしてましたが、確かにクリアになったもののこれで200万円?とか思ったのも事実。そもそもNASAのケーブルってそんなに偉いん?ただのMIL規格じゃないか、などと思ったりもしたのでした。

その後何をやりとしたかあまり覚えてません。ただ、店員曰く「このスピーカを鳴らすのにはセッティングのテクニックとかそう言うのは要らない。とにかくお金だけ必要。」と繰り返し仰られていたのが印象に残っています。また、その後自分の持って来たCDもかけたけれど、音量を入れて聞いていることもあって、部屋全体が音に包まれ、それでいて歪み感を感じず自然に聞けるのは良かったのだけれど、なんとなく密度は薄いな、くらいにしか思わず、早々に切り上げて、さっさと店を後にしてしまいました

疲れのあまり、車中では混乱してなんだか色々話をしていたような気がしますが、ほとんど覚えていません。ただ、帰ってから無性に悔しくて、腹が立っていたことを覚えています。

帰宅後、自分のメインシステムを改めて聞いてみました。「うわ、これラジカセの音?」と思うくらいIRS-Betaと差が感じられました。そういや店舗のIRS-Betaは音量大きめだったよなと、と試しに音量を上げてみたのですが、ある音量を超えると妙にヒステリックでうるさく聞こえるようになり、「うーむ、これが性能の差なのか?」と思いましたが、もしかして音量を上げてうるさく聞こえるのはセッテイングのせいかも、と思いIRS-OMEGAのOwner’s Manualを久々に読み返してみたところ、Beta同様に左右間隔は2m以上空けるべき旨のことが書いてあり「あー、もしかして、まだOMEGAの性能も全然追い込めてない?」と言うことに改めて気付いたのでした。
そうして総合的に考えると、もう少しOMEGAを追い込んでからも良いかも、と思い、Betaの購入は断念することに。そもそもあんな音量、うちのような一般の家屋では出せるはずもないですし。

OMEGAのセッティングの課題に気づいたことや、一瞬とは言え夢が見れただけでも良しとすべきなのでしょうが、それにしても、店員のああいう行為がまかり通ってしまうオーディオ界に強い失望を感じました。個人的にはとても残念です。

ダイヤトーンサウンドとの決別

昨夜、ダイヤトーンのかつての名器ともいうべきDS-10000 Klavierの極上中古がヤフオクに出品されていることを知り、特にエンクロージャーの仕上げの素晴らしさ(私見では、そのまま宮内庁あたりに納めたと言われても信じてしまいそうなくらい)に惹かれ、一瞬本気で落札してみようかな、などと考えましたが、かつてのオーディオ遍歴の中でダイヤトーンとは決別を選んだ以上、おそらく入手してもあまり満足できないだろうなと思い、考えを改めました。

このエントリーでは、そのダイヤトーンサウンドと決別を選んだ時の話を書いてみたいと思います。

「スピーカーを買い換えるから、一緒に試聴に付き合って欲しい」、父にそう言われたのは1993年の初夏の頃だったと記憶します。それまで、自宅の父のオーディオシステムはソニーCDP-777ESA、山水AU-D907XD、ダイヤトーンDS-77HRを中心としたシステムで、わしもそのシステムの音で耳を鍛えてきたこともありスピーカーの買い替えとなればそれは自分の基準が変わることを意味しますので、非常に強い関心と期待をしつつ、秋葉原のオーディオ店に向かいました。
そのオーディオ店はいわゆる専門店で、スピーカーも量販店では殆ど目にすることのないような高額なものが並んでおり、それだけで圧倒されてましたが、父は「クラシックを中心に聴く」とのことで、お店の方のお薦めでタンノイStirling/TWや、当時人気を博していたソナス・ファベールのELECTA AMATORなどを聴きましたが、それぞれに良さがあれど、何かこう独自の魅力に欠けるというか…。そしてその次にインフィニティのKappa 7.1iとRenaissance90を聴いたのですが、Renaissance90は一聴して「ああ、これは他のスピーカとは違う!」と感じたのでした。特に違う、と思ったのは中高域で、他のスピーカーはシンバルやハイハットが「シャンシャン」と当たり前のような音で鳴るのに対し、Renaissance90は「スンスン」と若干引っ込んだ感じになるものの、金属を叩いているというその質感が物凄くリアルだったり、他のスピーカーは音が前に張り出してきてそれが音場を形成しているのに対し、Renaissance90はスピーカーの後ろ側も含め、音がその場の空気として漂うような音場感を形成したのです。特に後者はこれまでわしがスピーカーで経験したことのない音だったので、大変驚きました。そして、これらを聞き比べたのち、父は私に「どれが良いか」と聞かれ、わしは「タンノイは定位と良さと素直な音でクラシックには良さそうだが、他ジャンルではおそらくその帯域の狭さが気になると思う。ソナスはとても綺麗な音だけれど、交響曲では迫力に欠けそう。Renaissance90はかなり独特で、高域がちょっと物足りない気がするけど、音場感が独特で面白い。」と一通り答えた上で「他のスピーカーの音であればダイヤトーンと同じ傾向の音と言えるが、Renaissance90の音だけは他の国産では恐らく出ない音だと思う。Renaissance90が良いのでは」と締めくくりました。父も元々本命がそれだったようで、一方で予算的な理由からKappa 7.1iで済むのであればそれに越したことはない、と考えていたようですが、音以外にも接続端子の作りなどにかなりの差があったりしたことから、結局Renaissance90を購入することになります。自宅に到着後は、試聴時にも気になっていた高域の物足りなさと鳴りっぷりの悪さに父は大変苦闘し、結局アンプをセパレートに買い替えるなどして満足な音になるまでに数年を費やすことになるのですが…。

そんなことがあってからおよそ5年後、わしも社会人になって半年経ちだいぶ落ち着いてきたことから、今度は自分のシステムを刷新しようと思い立ち、「まずはスピーカーからだよなあ」ということで、かつて行った専門店でダイヤトーンDS-1000ZXとインフィニティKappa 6.2iを試聴することにしました。正直言えば、インフィニティは父が苦戦した過去を知っているだけあって、音さえ満足すればダイヤトーンにしようと考えていました。が、結局、ここでもハイハットの金属の質感のリアルさに差がありすぎて、結局インフィニティを選ぶことに。ダイヤトーンもさすがにDS-77HRよりは優れた音であり、とてもバランスが取れている整った音だったのですが、あらゆる評価項目で100点満点中全部80点という感じがあって、中途半端な感が否めなかったのがマイナスポイントでした。その約1年後に三菱電機がダイヤトーンの事業を縮小することになり、これが結局最後の別れとなってしまいました。その後、Kappa 6.2iも4年足らずで現行のリファレンススピーカーであるIRS-OMEGAに置きかわり、今日に至ります。

わしがダイヤトーンサウンドとの決別したのは、結局のところ最初にRenaissance90を試聴した時に感じた「ダイヤトーンと同じ傾向の音」が、DS-77HRの10年後の上位機種であるDS-1000ZXでもその印象が変わらなかったことがその要因として大きかったのだろうなあ、と思います。もっともその一方で、本当のダイヤトーンサウンドが目指す「ハイエンドな」世界を聴いてみたかったのですが、それが叶わなかったことは自分のオーデイオライフとして今でも悔やまれます。

ヘッドフォン比較視聴記

これまで、わしは通勤時にウオークマンNW-F887を付属のノイズキャンセリングヘッドフォンで聴いていたのですが、どうもなんだか楽しくありませんでした。楽曲自体を聴くのにはなんの支障もなく、ノイズキャンセリングのおかげで音自体は割と鮮明に聞こえるわけですが、メインの音響機器で音楽を聴いているときと異なり「何となく鳴っているものをただ耳元に流しているだけ」感が否めないのでした。ゆえに、それほど積極的に聴きたいと思わず、疲れているときなどは使わないことも少なからずありました。
しかし、先日試しにヘッドフォンを手持ちのATH-ES10に差し替えて通勤時に聴いてみたところ、これが大変楽しく、いかにも音楽を聴いているという感じで、積極的に聴きたいと感じるようになりました。
このような経緯もあって、これまで前回のエントリーにあるような「リファレンス機器として」以上の興味がなかったヘッドフォンについても、もう少し積極的に試してみたいと思いました。が、残念ながら元手がありませんので、とりあえず自宅にある3つのヘッドフォンの比較視聴をし、その感想を書いてみることにしました。なお、駆動環境はわしのメインの音響機器であるNP-S2000→DP-67(DACとして)→C-2410です。

  • SONY MDR-Z1000
    本来はモニターヘッドフォン。帯域が広くナチュラルトーン。細かい音をよく拾い反応が早い。残響がきれいに減衰し音場感も広め。アタック音が鋭く楽器の材質すら描写し、弦楽器はその爪弾くさまが見えるくらい鮮明。モニタリングのみならず、これで音作りもできそう。ただ、長時間のリスニングは退屈になるかも。
  • SONY MDR-Z900
    こちらも本来はモニターヘッドフォン。実際に発売当時、これを使用しているマスコミ関係者を少なからず目にした。帯域は狭くはないが、高域と低域に明らかな強調感がある。そのせいもあって、特定音域の細かい音は拾っているように感じるが、残響が早めに減衰するところをみるとそれほどでもないのかも。反応の速さにはさすがに年季を感じる。いわゆるノイズとなりやすい音域に強調感があるので、モニタリングとしては今でも使えると思うが、音作りはこれでしないほうがよさげ。リスニングにも退屈なので、録音時くらいにしか使えないかな…。
  • Audio-Technica ATH-ES10
    アウトドアリスニング用途を意識したヘッドフォン。帯域は広いはずだが、それを感じさせないほど巧みな音づくりをされており、楽曲そのものの解釈が変わってしまいかねないほど。また、このヘッドフォン独自の響きが音に乗ってくることもあって、細かい音は拾えど減衰のさまが前述2機種とは大きく異なる。反応は早くも遅くもないが、先述の響きの影響でなんとなく音像がぼやける。音場の広さは普通。長時間聴いていても嫌な音はしないのでリスニングには向いていると思うが、密閉型ではないこともあり、モニタリング、音作りには前述2機種と比較すると向いていない。

ヘッドフォンリスニング

先日、以前から使い続けているヘッドフォン、SONY MDR-Z900のイヤーパッドがボロボロになっていることに気づき、補修部品を取り寄せて修理しました。

このMDR-Z900を購入するきっかけは、1998年10月から横須賀勤務になるのに併せ当面はホテル暮らしになるということが決まり「平日夜に音楽が聴けないのは辛い」と感じてポータブルオーディオの環境を整えるべく、MD Walkman MZ-R55と共に急遽購入したものでした。ホテル暮らしそのものは3ヶ月程度で終了してしまったものの、その後も時々引っ張り出して使っていましたが、昨今はMDR-Z900の実質的な後継機MDR-Z1000やアウトドア用のAudio-Technica ATH-ES10なども追加で購入したことや、もともとヘッドフォンリスニング自体がそれほど好きではないこともあって、使用頻度はめっきり減っていました。

少し脱線しますが、「ヘッドフォンリスニングが好きではない」について補足をすると、本来ついていないはずの「機器」を耳に装着していること自体に強い違和感があることや、ケーブルによって行動が制限されてしまうことに窮屈さを感じ、どうも生理的に合わないのです。音楽を楽しんでいるというより、無理やり聞かされているとすら感じられてしまうくらい。よって、普段は通勤時の電車車中でもない限りヘッドフォンで音楽を聴くことはないのですが、一方でスピーカーだけで音を聞いているだけだと、セッティングも含め「はて、これが本当に正しい音なのだろうか」と時々不安になったりすることも少なからずあります。特に、メインスピーカーであるInfinityはよくも悪くも特徴的な音調のスピーカーのため、これで完全に耳が慣れてしまうと他の機器での音質が適切に評価できなくなるのではないのか…などという恐れもあり、たまにはヘッドフォン、それも出来る限りモニター調のもので耳を慣らしておこう、ということで時々ヘッドフォンでのリスニングもするようにしています。つまるところ、ヘッドフォンもわしにとっては重要なリファレンスだったりします。

さて、MDR-Z900を修理し早速鳴らしてみたのですが、「こんなものだったっけ?」と、どうもパッとしません。先ほど、MDR-Z1000やATH-ES10があると書きましたが、MDR-Z1000はモニター調という意味では素晴らしい性能を持っていた一方で、購入直後は音が生真面目で面白みに欠けリスニングには向いていない感があり、ATH-ES10については、そもそも帯域バランスがわしの趣味に合わなかったこともあって、MDR-Z900こそがわしにはベストリファレンスヘッドフォンだとずっと思っていたのですが、いつの間にかエージングが進んだMDR-Z1000に追い抜かれていたようです。今、改めてMDR-Z900と同Z1000を比較試聴すると、解像度や音の立ち上がりの速さはもちろんのこと、帯域の広さ、音の厚み、そして空間表現といったすべての点においてMDR-Z1000の圧勝です。念のため、Z900も修理後それなりに時間をかけてエージングをしたのちに比較試聴したのですが、その差は殆ど埋まることはありませんでした。価格が倍以上違うとはいえ、ここまで違ってしまうものだとは…と、正直衝撃を受けました。特にMDR-Z1000はエージングが進んだことにより、リスニングでも十分音楽の心地よさを伝えるようになり、また、メインスピーカーでも気づかなかったようなフレーズを生き生きと描写するなど、先述のヘッドフォンリスニングが好きではないというわしの考えを少し改めさせられるような結果になりました。オーディオの楽しみ方もいろいろあると思うのですが、特に「取っ替え引っ換えしながら、色んな傾向の音を楽しみたい」というのであれば、ヘッドフォンの方が手軽でいいですね。スピーカーだとそれだけのスペースが必要だったり、セッティングのやり直しになったりとかで、取っ替え引っ換えはあまり現実的ではありませんので。

あと、この比較試聴で改めて知らしめられたことと言えば、ヘッドフォンアンプによる差もかなりあるなあ、と言うことでした。最初は比較試聴をKENWOOD R-K1で行っていたのですが、特にMDR-Z900とは相性が悪かったようで、後にAccuphase C-2410のヘッドフォン出力で改めて行ったところ、見違えるほど音に躍動感が出てきて、また、繊細さも感じられるようになりました。こうしてみると、ヘッドフォンリスニングもやはりピュアオーディオのそれなんだなあ、と感じた次第です。

うーん、こうなるとSONYの現時点でのハイエンドヘッドフォンである、MDR-Z7とPHA-3のバランス接続の音も聞いてみたいなあ。その結果次第によっては趣旨変えをする可能性がないとは言えないかも知れません。

チューナー交換

怪我だの長男の入院だののさなか、FM/AMチューナであるKT-V990が故障してしまいました。電気店に修理を依頼しましたが、パーツ在庫無しでThe END…。本厄パワー恐るべし。 で、チューナはどうするべきか少し悩んでいたのですが、中古店でKT-6050が売っていたのでゲット。付属品いっさいなしでしたが、ちょうどいい具合にリモコンがヤフオクで出ていたので、こちらもゲット。これまでより便利な環境になった(KT-V990はリモコンが使えなかったので)ことで、チューナ大活躍。リモコンに慣れた身体には、リモコン無しではその機器の使用頻度すら変わるものなのだなあ、とか改めて思ったりして。

音質は正直KT-V990のほうが好みでしたが、無い物ねだりしても仕方ないのでこれで当分は行こうかなと。Accuphase T-1100?まあ、それはもう少し様子を見てから考えようかと。

慢心は良くない

ここのところ、風野旅人氏の日記に書かれているオーディオに関するトピックに触発されて、週末になると一日の半分くらいメインシステムで音楽を聴いていたりします。その結果としてエージングが進んだ(機器のなのか、わしの耳なのかはともかくとして)のか、だんだん音の解像度が上がってきたように思います。

しかし、一方でボーカルが前に出てこない件は相変わらず。という訳でスピーカを内側に振る角度を見直してみました。最初、思い切ってスピーカの正面を試聴している位置に向けたのですが、ボーカルがさらに引っ込んだだけでなく、演奏もがちゃがちゃした大変聴きづらいものになってしまいました。ならばその逆なら良いのでは、と思い、振り角を殆どなくしてみたら、ボーカルが前に出て来ただけでなく、音全体が大変整理され、音場も左右に広がって大変好ましい物になりました。

思い返してみると、父のInfinity Renaissance 90も殆ど振り角を付けてなかったなあ、ということで、これまでの音の不満の大半は極めて基本的なセッティングにあったということに今更ながらに気づいていろんな意味でガックリ。まだまだやることがたくさんありそうだなあ、と改めて感じた次第です。

引き続きオーディオの話題

昨日、「もう少しアタックとかは強く前に出てくれたほうが良い」などと書いたのですが、マランツのネットワークオーディオプレーヤーNA-11S1だとそういう音の傾向らしいですね。

参考:http://bbs.kakaku.com/bbs/K0000465337/SortID=16020733/#tab

しかし、同社製のネットワークオーディオプレーヤーは操作性がイマイチという話を、NA7004ユーザからも聞いたりしているので、躊躇。いや、躊躇もなにもどっちみち原資がありませんけど…。

|・ω・`)ソォーッ…

1か月以上放置プレイだったので、もはや誰も見にすら来ていないと思うけど、たまには何か書いてみる。

メインのオーディオシステムでのリスニングはここ暫く週末にしか出来ていませんが、最近は子供たちもだいぶ聞き分けが良くなり、その分聴く時間を長くとることができるようになってきました。
で、この週末は一日中機器の電源を入れっぱなしにしてみたところ、だんだん自分のシステムの性格が分かってきたというか(いまさらですが)。

一言でいうと、たいへん柔らかい音。いやまあ、それをある程度意識して機器を選んだりしたわけですが、それにしてもちょっと柔らかすぎるかなー、って感じ。もう少しアタックとかは強く前に出てくれたほうが良いような気も。なんつーか、音像が全部後方に行ってしまうのです。あんまりガンガン前に出られても頭痛がするだけで不快ですが、たまにはハッとするような音が出て欲しい。
一方で、電源投入1~2時間程度は若干音が固いため「もっと柔らかい音が良いな」と思い、今のセッティングに至ってしまっているという部分も。うーん、電源投入直後にセッティングを合わせるか、それとも長時間リスニングにあわせるかが悩ましいなー。機器の電源を常に入れっぱなしできれば、必然的に長時間リスニング側で調整するんだけど、さすがにそれはこのご時世だし…。

とまあ、くだらない悩みを抱えてしまったわし。いずれにしても、今度の週末にでも久々にセッティングを見直そうかな、などと思いました。